エステサロンを売る──売却と承継の進め方
安全と透明性を、最優先に設計しております。
エステサロンの譲渡で最大の論点は、前払いいただいているコース契約の残高です。エステティックは特定商取引法の「特定継続的役務提供」にあたる場合があり、お客様には中途解約の権利があります。この残高の扱いを決めないまま話を進めると、必ず途中で止まります。売り方の型と、確認する5点を順番どおりに整理しました。
1. 最初に決めるのは「何を渡すか」
エステサロンの譲渡は、次の4つの型に分かれます。前払いのコース契約が残っている場合、その義務を誰が負うのかで型が決まります。義務ごと引き継いでもらうなら事業譲渡または会社譲渡、設備だけを渡すなら経営資源譲渡か居抜き譲渡です。
| 売り方 | 渡すもの | 借入・赤字の扱い | 向いている状況 |
|---|---|---|---|
| 会社譲渡 | 法人そのもの(株式・持分) | 借入金・赤字・保証も一緒に引き継がれる | 法人ごと引き継いでほしい。許認可や契約を切らずに残したい |
| 事業譲渡 | 店舗の事業一式(設備・顧客・契約) | 合意したものだけが移る | 複数店のうち1店だけ手放す。法人は残す |
| 経営資源譲渡 | 設備・顧客名簿など、個別の資産 | 引き継がれない | 事業としてではなく、使えるものだけを渡したい |
| 居抜き譲渡 | 内装・造作・設備 | 引き継がれない | 原状回復を避けたい。物件は買い手が貸主と新たに契約する |
エステティックは、一定の期間と金額を超える契約について特定商取引法の「特定継続的役務提供」に該当する場合があります。この場合、お客様には中途解約権があり、解約時の清算方法にも定めがあります。未消化のコース残高は、そのまま「返金を求められうる債務」です。金額を先に把握したうえで、引き継ぐのか精算するのかを決めてください。
2. 閉店を決める前に確認する5点
エステサロンの譲渡でつまずくのは、たいてい次の5つのどれかです。
| 確認すること | なぜ効いてくるか | 確認先 |
|---|---|---|
| 前受金(コース契約の未消化残高) | 最大の論点です。特定継続的役務提供に該当する契約にはお客様の中途解約権があり、未消化分は返金を求められうる債務です。引き継ぐのか、売り手が精算するのかを先に決めます | 自店の管理システム・会計帳簿・顧問の専門家 |
| 施術機器のリース残債 | 脱毛機・フェイシャル機器は高額でリース利用が多い設備です。所有権がリース会社にある機器は勝手に譲渡できません | リース会社・リース契約書 |
| スタッフの残留 | 施術者に顧客が付いている度合いが高く、スタッフが抜けると顧客も動きます。買い手が必ず確認する点です | スタッフご本人・雇用/業務委託契約書 |
| 顧客データと施術記録 | 顧客名簿・カルテは個人情報です。承継する場合の取り扱いを契約で明確にしてください | 顧問の専門家 |
| 貸主の承諾と原状回復の範囲 | 個室の間仕切り・給排水・電気容量は造作です。居抜きで渡すには貸主の承諾が要ります | 貸主・管理会社・賃貸借契約書 |
解約予告を出す前にご確認ください。解約日が決まってしまうと買い手の検討期間が足りず、居抜きで渡せたはずの設備を自費で撤去することになりがちです。
3. 値段はどう決まるか
エステサロンの譲渡価格は、「機器・内装の時価」「顧客基盤の収益価値」「立地と賃貸借契約の条件」から、未消化のコース残高を差し引いて決まるのが実務です。ここが他業種と最も違う点で、前受金が大きい店舗は、見かけの売上が大きくても譲渡価格が伸びません。これから提供する義務を買い手が引き受けることになるためです。逆に、都度払い中心に切り替えている店舗や、前受金の残高が小さい店舗は、機器と顧客基盤がそのまま評価されます。掲載前に残高を出しておくことが、最も効く準備です。
andMA では、譲渡希望額とあわせて、引き継ぐ借入金・リース残・連帯保証(居抜き譲渡は保証金と原状回復義務)を「なし」も含めて申告いただきます。裏側まで先に開示された案件のほうが、買い手の検討が早く進みます。詳しくは安全と透明性への取り組みをご覧ください。手数料の考え方は利用料金にすべて公開しています。
4. 買い手はどこにいるか
エステサロンの案件は、前受金と機器の扱いが絡むため、居抜き物件サイトよりM&Aのプラットフォームが向いています。買い手は次のような層です。
- 独立を考えている施術者:機器と個室が揃っているぶん、開業費用と工期を大きく圧縮できます
- 同業の多店舗化:すでに店舗を持っていて、エリアや機器のラインナップを広げたい事業者
- 近隣業態からの転用:パーソナルジム・整体・ネイル・アイラッシュなど、個室と給排水を使える業態
andMA には、買い手があらかじめ条件を登録する買いニーズがあります。掲載前でも、自店の条件に近い買い手がいるかを確認できます。公開中の案件は案件一覧でご覧いただけます。
5. andMA での進め方
掲載から成約まで、売り手の費用は0円です(掲載料・月額費・中間金・成約手数料のすべて)。買い手は成約したときだけ、成約価格の2%(税別・最低20万円)をお支払いいただきます。契約書の確認やデューデリジェンスが必要な場面では、提携する弁護士・公認会計士・税理士をスポットで手配できます(費用は別途)。
- STEP 1無料登録・下書き店名や所在地は伏せたまま、業種・エリア・規模で掲載できます。
- STEP 2引き継ぐものを申告借入・リース残・保証、保証金・原状回復義務を「なし」も含めて記入します。
- STEP 3公開・打診を受ける運営が内容を確認してから公開します。関心のある買い手から交渉の申し込みが届きます。
- STEP 4面談・契約・引き継ぎ当事者間で条件を詰めます。必要に応じて士業をスポットでご紹介します。
6. 掲載前にそろえておく資料
先に手元にあると、買い手の検討が早く進みます。すべてが揃っていなくても掲載はできます。
- 直近2〜3期の決算書(法人の場合)または確定申告書
- 月次の売上と、コース販売/都度利用の内訳
- 未消化のコース残高(契約者数と金額)
- 固定費の一覧(家賃・人件費・材料費)
- 賃貸借契約書(原状回復条項・用途・残存期間)
- 施術機器の一覧と、所有/リースの別・残債
- スタッフの契約形態と残留の意向
ほかの業種のガイド
インドアゴルフ・ゴルフスタジオパーソナルジム・無人ジム美容室・サロン飲食店カフェ整体院・接骨院ヨガ・ピラティススタジオ学習塾コインランドリー
売り方そのものは居抜き・造作譲渡の進め方、手数料は利用料金、進め方はご利用の流れをご覧ください。
よくある質問
コース契約の残高があります。売れますか?
売れます。ただし、未消化分をどう扱うかを先に決める必要があります。未消化のコースは「これから提供する義務」であり、特定継続的役務提供に該当する契約ではお客様に中途解約権があるため、返金を求められうる債務でもあります。買い手が引き継ぐ場合は、その分を譲渡価格から差し引くのが一般的です。金額を先に出しておくことが、最も効く準備になります。
脱毛機がリース中です。譲渡できますか?
残債の額と、リース会社が名義変更に応じるかによります。所有権はリース会社にありますので、前の借主が勝手に譲渡することはできません。買い手が引き継ぐ、売り手が一括で清算する、機器を外して渡す、のいずれかになります。掲載前にリース会社へご確認ください。
スタッフが辞めてしまいます。それでも売れますか?
売れますが、値段の考え方が変わります。施術者に顧客が付いている度合いが高い業種のため、スタッフが残らない場合は「機器・内装の時価と立地」に近い評価になります。独立を考えている施術者にとっては、機器と個室を安く手に入れられる案件になりますので、需要はあります。
顧客名簿は渡せますか?
顧客名簿・施術記録は個人情報ですので、取り扱いには注意が必要です。事業譲渡にともなって承継する場合の取り扱いについては、利用目的の範囲や本人への通知・公表の要否を含めて、契約前に専門家にご確認ください。andMA では必要に応じて提携する士業をスポットでご紹介できます。
閉店を決めてからでも間に合いますか?
解約予告を出す前にご相談ください。エステは個室の間仕切りや給排水の造作があるぶん、原状回復の費用が大きくなりやすい業種です。解約日が決まると買い手の検討期間が足りず、居抜きで渡せたはずの設備を自費で撤去することになりがちです。