飲食店を売る──売却と居抜き・造作譲渡の進め方
安全と透明性を、最優先に設計しております。
飲食店は居抜きの市場が最も整備されている業種です。そのぶん「造作譲渡」という言葉が一人歩きしていて、営業許可や原状回復の扱いを確認しないまま話を進めてしまう例が少なくありません。売り方の4つの型、閉店前に確認する5点、買い手の探し方を順番どおりに整理しました。
1. 最初に決めるのは「何を渡すか」
飲食店の譲渡は、次の4つの型に分かれます。飲食では居抜き(造作)譲渡が最も一般的ですが、売上や常連客ごと引き継いでほしい場合は事業譲渡、法人ごとであれば会社譲渡になります。
| 売り方 | 渡すもの | 借入・赤字の扱い | 向いている状況 |
|---|---|---|---|
| 会社譲渡 | 法人そのもの(株式・持分) | 借入金・赤字・保証も一緒に引き継がれる | 法人ごと引き継いでほしい。許認可や契約を切らずに残したい |
| 事業譲渡 | 店舗の事業一式(設備・顧客・契約) | 合意したものだけが移る | 複数店のうち1店だけ手放す。法人は残す |
| 経営資源譲渡 | 設備・顧客名簿など、個別の資産 | 引き継がれない | 事業としてではなく、使えるものだけを渡したい |
| 居抜き譲渡 | 内装・造作・設備 | 引き継がれない | 原状回復を避けたい。物件は買い手が貸主と新たに契約する |
造作譲渡は、内装・厨房設備・空調などの「造作」を買い手に有償で譲る形です。物件そのものは買い手が貸主と新たに賃貸借契約を結びます。このとき売り手の原状回復義務が免除されるかどうかは、貸主との合意次第です。自動的に消えるものではないため、必ず書面で確認してください。
2. 閉店を決める前に確認する5点
飲食店の譲渡でつまずくのは、たいてい次の5つのどれかです。
| 確認すること | なぜ効いてくるか | 確認先 |
|---|---|---|
| 営業許可の扱い | 食品衛生法にもとづく営業許可は、相続・合併・分割では地位の承継の届出ができますが、事業譲渡や造作譲渡では承継されません。買い手が新たに許可を取る必要があります。深夜0時以降にお酒を出す店は、深夜酒類提供飲食店営業の届出も別途必要です | 管轄の保健所・警察署 |
| 貸主の承諾と原状回復の範囲 | 造作譲渡には貸主の承諾が要ります。承諾なしに進めると契約違反になりかねません。また、承諾が取れても売り手の原状回復義務が当然に消えるわけではありません | 貸主・管理会社・賃貸借契約書 |
| 厨房機器のリース残債 | 厨房機器は高額でリース利用が多い設備です。所有権がリース会社にある機器は、前の借主が勝手に譲渡できません | リース会社・リース契約書 |
| 排気ダクト・グリストラップ・給排水 | 飲食特有の設備で、一から作ると費用がかさみます。買い手にとっては価値ですが、同時に原状回復の対象でもあります。仕様と設置年を出しておくと評価されます | 内装業者・図面 |
| 保証金の扱い | 売り手が差し入れた保証金は、買い手から直接受け取るのか、貸主経由で精算するのかで手取りが変わります。三者で先に決めておいてください | 貸主・管理会社 |
解約予告を出す前にご確認ください。解約日が決まってしまうと買い手の検討期間が足りず、居抜きで渡せたはずの設備を自費で撤去することになりがちです。
3. 値段はどう決まるか
飲食店の譲渡価格は、「造作・設備の時価」「収益の継続性」「立地と賃貸借契約の条件」の3つで決まります。造作譲渡の場合は、買い手が一からスケルトンで作った場合の費用との差額が値段の根拠になります。そのまま使える設備が多いほど、また残存期間の長い賃貸借契約が付いているほど、評価は上がります。逆に、業態が限定される特殊な造作(強い匂いが残る、席のレイアウトが固定されている等)は、買い手の業態を選ぶため、価格が伸びにくくなります。常連客や売上ごと引き継ぐ事業譲渡では、営業利益をもとにした評価が加わります。
andMA では、譲渡希望額とあわせて、引き継ぐ借入金・リース残・連帯保証(居抜き譲渡は保証金と原状回復義務)を「なし」も含めて申告いただきます。裏側まで先に開示された案件のほうが、買い手の検討が早く進みます。詳しくは安全と透明性への取り組みをご覧ください。手数料の考え方は利用料金にすべて公開しています。
4. 買い手はどこにいるか
飲食店は居抜き物件サイトにも案件が多い業種ですが、売上や従業員ごと引き継ぐ形はM&Aのプラットフォームのほうが向いています。買い手は次のような層です。
- これから開業する個人:内装と厨房が揃っているぶん、開業費用と工期を大きく圧縮できます。最も数が多い層です
- 同業の多店舗化:すでに店舗を持っていて、エリアや業態を広げたい事業者
- 異業種からの転用:同じ広さと設備条件を使える業態。給排水と排気がある物件は、転用の幅が広くなります
andMA には、買い手があらかじめ条件を登録する買いニーズがあります。掲載前でも、自店の条件に近い買い手がいるかを確認できます。公開中の案件は案件一覧でご覧いただけます。
5. andMA での進め方
掲載から成約まで、売り手の費用は0円です(掲載料・月額費・中間金・成約手数料のすべて)。買い手は成約したときだけ、成約価格の2%(税別・最低20万円)をお支払いいただきます。契約書の確認やデューデリジェンスが必要な場面では、提携する弁護士・公認会計士・税理士をスポットで手配できます(費用は別途)。
- STEP 1無料登録・下書き店名や所在地は伏せたまま、業種・エリア・規模で掲載できます。
- STEP 2引き継ぐものを申告借入・リース残・保証、保証金・原状回復義務を「なし」も含めて記入します。
- STEP 3公開・打診を受ける運営が内容を確認してから公開します。関心のある買い手から交渉の申し込みが届きます。
- STEP 4面談・契約・引き継ぎ当事者間で条件を詰めます。必要に応じて士業をスポットでご紹介します。
6. 掲載前にそろえておく資料
先に手元にあると、買い手の検討が早く進みます。すべてが揃っていなくても掲載はできます。
- 直近2〜3期の決算書(法人の場合)または確定申告書
- 月次の売上・客数・客単価(直近12か月)
- 固定費の一覧(家賃・人件費・原価率)
- 賃貸借契約書(原状回復条項・用途・残存期間・保証金の額)
- 厨房機器の一覧とリース契約書(残債の額)
- 内装の図面と、排気・給排水・電気容量の仕様
- 営業許可証の写しと、取得年月
ほかの業種のガイド
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売り方そのものは居抜き・造作譲渡の進め方、手数料は利用料金、進め方はご利用の流れをご覧ください。
よくある質問
飲食店の営業許可は、買い手にそのまま引き継げますか?
事業譲渡や造作譲渡では引き継げません。食品衛生法にもとづく営業許可の地位の承継は、相続・合併・分割の場合に届出ができる制度で、事業譲渡はその対象ではありません。買い手が新たに許可を取得する必要があります。引き渡し日と、買い手の許可取得にかかる期間をあわせて段取りしてください。詳細は管轄の保健所にご確認ください。
造作譲渡をすれば、原状回復はしなくてよいのですか?
自動的に免除されるわけではありません。原状回復義務は売り手と貸主の賃貸借契約にもとづくもので、買い手に造作を売ったことで当然に消えるものではないためです。貸主の承諾を得たうえで、売り手の原状回復義務をどう扱うかを書面に残してください。ここを口頭で済ませると、退去時に請求が来ることがあります。
厨房機器がリース中です。譲渡できますか?
残債の額と、リース会社が名義変更に応じるかによります。所有権はリース会社にありますので、前の借主が勝手に譲渡することはできません。買い手が引き継ぐ、売り手が一括で清算する、機器を外して渡す、のいずれかになります。掲載前にリース会社へ確認しておいてください。
閉店を決めてからでも間に合いますか?
解約予告を出す前にご相談ください。解約日が決まると買い手の検討期間が足りず、造作で渡せたはずの設備を自費で撤去することになりがちです。賃貸物件の多くに原状回復義務があり、スケルトン戻しは飲食店では特に高額になります。
借入が残っていても掲載できますか?
できます。andMA では、引き継ぐ借入金・リース残・連帯保証を「なし」も含めて申告していただく設計にしています。裏側まで先に開示された案件のほうが、買い手の検討が早く進みます。隠して進めて後から出てくるほうが、結果的に不利になります。