学習塾を売る──売却と承継の進め方
安全と透明性を、最優先に設計しております。
学習塾の譲渡には、他業種にない制約がひとつあります。生徒が年度で動くことです。このため、引き継ぐタイミングがほぼ決まっており、そこを外すと生徒が大きく抜けます。売り方の4つの型、閉店前に確認する5点、買い手の探し方を順番どおりに整理しました。
1. 最初に決めるのは「何を渡すか」
学習塾の譲渡は、次の4つの型に分かれます。塾では生徒と講師を一緒に渡す事業譲渡または会社譲渡が中心です。設備だけを渡す居抜き譲渡は、教室としての価値が限定されるため成立しにくい傾向があります。
| 売り方 | 渡すもの | 借入・赤字の扱い | 向いている状況 |
|---|---|---|---|
| 会社譲渡 | 法人そのもの(株式・持分) | 借入金・赤字・保証も一緒に引き継がれる | 法人ごと引き継いでほしい。許認可や契約を切らずに残したい |
| 事業譲渡 | 店舗の事業一式(設備・顧客・契約) | 合意したものだけが移る | 複数店のうち1店だけ手放す。法人は残す |
| 経営資源譲渡 | 設備・顧客名簿など、個別の資産 | 引き継がれない | 事業としてではなく、使えるものだけを渡したい |
| 居抜き譲渡 | 内装・造作・設備 | 引き継がれない | 原状回復を避けたい。物件は買い手が貸主と新たに契約する |
もうひとつ、学習塾で必ず確認が要るのがFC加盟塾かどうかです。フランチャイズに加盟している場合、加盟店の地位を第三者に移すには本部の承諾が必要になるのが通常です。本部が承諾しなければ、看板を外したうえでの譲渡になり、生徒の残り方がまったく変わります。契約書を先に確認してください。
2. 閉店を決める前に確認する5点
学習塾の譲渡でつまずくのは、たいてい次の5つのどれかです。
| 確認すること | なぜ効いてくるか | 確認先 |
|---|---|---|
| 引き継ぐタイミング(年度区切り) | 生徒は年度で動きます。学年が変わる時期をまたぐ引き継ぎは生徒の離脱が大きくなるため、いつ渡すかを先に決めてから買い手を探すほうが確実です | 自塾の生徒名簿・カレンダー |
| 前受金と中途解約権 | 授業料の前払いや教材費の一括徴収がある場合、未消化分は「これから提供する義務」です。学習塾は特定商取引法の特定継続的役務提供に該当する場合があり、その契約には中途解約権があります | 自塾の会計帳簿・顧問の専門家 |
| 講師の引き継ぎ | 生徒は担当講師に付いています。とくに学生アルバイト講師は卒業で入れ替わるため、引き継ぎ計画を買い手と共有してください | 講師本人・雇用/業務委託契約書 |
| FC本部の承諾 | 加盟塾の場合、加盟店の地位の移転には本部の承諾が通常必要です。承諾が得られるかで、譲渡の形そのものが変わります | FC本部・加盟契約書 |
| 教材・カリキュラムの権利 | 自作教材の著作権、外部教材の利用許諾、システムのライセンスが引き継げるかを確認します | 教材の提供元・ライセンス契約書 |
解約予告を出す前にご確認ください。解約日が決まってしまうと買い手の検討期間が足りず、居抜きで渡せたはずの設備を自費で撤去することになりがちです。
3. 値段はどう決まるか
学習塾の譲渡価格は、「生徒基盤の収益価値」が中心で、そこに「設備の時価」「立地と賃貸借契約の条件」が加わります。他業種と違い、内装や設備の比重が小さく、在籍生徒数と継続率がほぼそのまま評価になります。そのため、学年別の在籍数・継続率・コース別の単価を出せるかどうかで、話の進み方が大きく変わります。また、前受金(授業料・教材費の一括分)は未提供の義務として差し引かれるのが実務です。FC加盟塾で本部の承諾が見込める案件は、ブランドと教材がそのまま残るため評価が安定します。
andMA では、譲渡希望額とあわせて、引き継ぐ借入金・リース残・連帯保証(居抜き譲渡は保証金と原状回復義務)を「なし」も含めて申告いただきます。裏側まで先に開示された案件のほうが、買い手の検討が早く進みます。詳しくは安全と透明性への取り組みをご覧ください。手数料の考え方は利用料金にすべて公開しています。
4. 買い手はどこにいるか
学習塾の案件は、居抜き物件サイトには出てきません。生徒と講師の引き継ぎが本体だからです。買い手は次のような層です。
- 同業の多店舗化:すでに塾を運営していて、エリアや学年帯を広げたい事業者。最も数が多い層です
- 教育関連企業の参入:オンライン教材・家庭教師・英会話など、教室網を持ちたい事業者
- 独立を考えている講師・教室長:生徒と教材が揃っている状態で始められるため、立ち上げの負担が小さくなります
andMA には、買い手があらかじめ条件を登録する買いニーズがあります。掲載前でも、自店の条件に近い買い手がいるかを確認できます。公開中の案件は案件一覧でご覧いただけます。
5. andMA での進め方
掲載から成約まで、売り手の費用は0円です(掲載料・月額費・中間金・成約手数料のすべて)。買い手は成約したときだけ、成約価格の2%(税別・最低20万円)をお支払いいただきます。契約書の確認やデューデリジェンスが必要な場面では、提携する弁護士・公認会計士・税理士をスポットで手配できます(費用は別途)。
- STEP 1無料登録・下書き店名や所在地は伏せたまま、業種・エリア・規模で掲載できます。
- STEP 2引き継ぐものを申告借入・リース残・保証、保証金・原状回復義務を「なし」も含めて記入します。
- STEP 3公開・打診を受ける運営が内容を確認してから公開します。関心のある買い手から交渉の申し込みが届きます。
- STEP 4面談・契約・引き継ぎ当事者間で条件を詰めます。必要に応じて士業をスポットでご紹介します。
6. 掲載前にそろえておく資料
先に手元にあると、買い手の検討が早く進みます。すべてが揃っていなくても掲載はできます。
- 直近2〜3期の決算書(法人の場合)または確定申告書
- 学年別・コース別の在籍生徒数と、直近3年の推移
- 継続率と、年度替わりの残留率
- 月次の売上と固定費(家賃・講師費・教材費)
- 賃貸借契約書(原状回復条項・用途・残存期間)
- 前受金(授業料・教材費)の未消化残高
- FC加盟契約書(加盟塾の場合)と、本部の承諾の見通し
- 講師の契約形態と、引き継ぎの可否
ほかの業種のガイド
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売り方そのものは居抜き・造作譲渡の進め方、手数料は利用料金、進め方はご利用の流れをご覧ください。
よくある質問
学習塾を売るのに、よい時期はありますか?
あります。生徒が年度で動くため、学年が変わる時期をまたぐ引き継ぎは離脱が大きくなります。一般には、年度末の募集が固まる前に買い手を決め、新年度の案内を新体制で出せるように段取りするのが無難です。逆算すると、少なくとも半年前には動き始めておきたいところです。
FC加盟塾ですが、譲渡できますか?
本部の承諾が得られるかによります。加盟店の地位を第三者に移すには本部の承諾が必要とされているのが通常で、承諾が得られなければ、看板を外したうえでの譲渡になります。その場合は生徒の残り方が変わりますので、加盟契約書を確認したうえで、早い段階で本部に相談してください。
前払いの授業料や教材費があります。どう扱いますか?
未消化分は「これから提供する義務」ですので、引き継ぐか精算するかを契約で決めます。学習塾は特定商取引法の特定継続的役務提供に該当する場合があり、その契約には中途解約権があります。買い手が引き継ぐ場合は、その分を譲渡価格から差し引くのが一般的です。
講師が学生アルバイトばかりです。評価は下がりますか?
一概には言えません。買い手が同業であれば、講師の採用と研修の仕組みを持っていることが多く、入れ替わりを前提に評価します。重要なのは、講師が抜けたときに生徒が残る仕組み(カリキュラム・教材・教室長)があるかどうかです。そこを説明できると評価が安定します。
生徒名簿は渡せますか?
生徒名簿は個人情報であり、未成年者の情報を含みます。事業譲渡にともなって承継する場合の取り扱いについては、利用目的の範囲や保護者への通知・公表の要否を含めて、契約前に専門家にご確認ください。andMA では必要に応じて提携する士業をスポットでご紹介できます。